♨️風呂太郎のおもちゃ箱🤖

玉金レボリューション✨

【過去の記憶】レシートおじさん

コンビニでアルバイトをしていたときの話。

 

 

客で、たまに来るおやじがいた。

 

 

髪の毛はボサボサで、ねっとり。

小太りで、ジャンパーを羽織り

いつもラフな服装をしている。

 

 

おやじはいつも、商品を見ながら笑っている。

そして、なにやら一人でブツブツと言っている。

 

 

 

 

おかしなおやじだと思っていたが、

ある時、その男の会計をすることがあった。

 

 

おっさんはレジに、飲料水と成人雑誌を出してきた。

 

 

「※※※円になります。」

 

 

私がそう言うと、おやじは千円札を出してきた。

 

私は、お釣りとレシートを渡した。

 

おっさんは、小さな小銭入れ(おそらく100均)にお釣りとレシートを入れた。

 

 

 

 

 

 

次の瞬間

パッと顔を上げ、男は言った。

 

 

 

 

 

 

 

「レシートもらいましたっけ?」

 

 

 

 

・・・・・・「お渡ししましたよ。」

 

 

 

 

 

そう言うと、おやじは何も言わず

商品を持って帰って行った。

 

 

 

 

 

 

 

後日、またそのおやじはやってきた。

その日も半笑いで店に入ってきて、

商品を見ている。

 

 

私はおやじの行動が気になり、なにげなく観察していた。

 

 

 

 

しばらくするとおやじは、半笑いのままレジに

並んだ。

 

 

 

 

 

 

 

そして、半笑いのまま会計を待っている。

 

 

 

 

 

 

一人、また一人とレジが進んでいき、

とうとう半笑いの番になった。

 

 

 

 

おやじは商品を置いた。

真顔に戻っている。

 

 

 

 

ただし、今回は私のレジではなく

となりのレジであった。

 

 

私はレジ対応をしながら、

となりを気にしていた。

 

 

 

 

 

「※※※円のお返しになります。」

 

 

 

 

 

となりのバイトはそう言い、釣り銭とレシートをおやじへ渡した。

 

 

おやじは小銭入れ(おそらく100均)へ入れている。

 

 

おやじは小銭入れのチャックをしっかりと締めた。

レシートも入れたことを、私はしっかりと確認している。

 

 

 

 

 

すると次の瞬間、

「・・・レシートもらいましたっけ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数ヶ月ほど経った。

私は勤務時間の変更もあり、そのおやじを見なくなっていた。

 

 

新人も入り、私も忙しくなり

おっさんのことも忘れていた。

 

 

そんな折、おやじは再びやってきた。

今回は真顔で入ってきたが、商品を見るころには

半笑いに変わっていた。

 

 

店内を半笑いで一、二周したあと、

そのままの顔でレジに並んだ。

 

 

私は客の対応のため、新人にレジを任せた。

 

 

 

 

 

顧客対応を終え、再びレジへ戻ってきた。

以外に列の進みが速く、戻ったときには

新人とおっさんが向き合っていた。

 

 

 

 

 

 

おっさんは、100均のチャックを締めている。

 

 

 

 

 

そして次の瞬間、パッと顔を上げ

新人を見つめながら言った。

 

 

 

 

 

 

「・・・レシートもらいましたっけ?」

 

 

 

 

 

 

まさかの返しに、あわててレジの下

自分のポケットを探す新人。

 

 

 

 

取り乱す新人。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それをジッと見つめる中年・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくすると、おやじは言った。

「じゃ、なしでいいですよ。」

 

 

大きな心でいいですよ、

みたいな空気を出してきた。

 

 

 

 

 

次の瞬間、

「レシート、入れてましたよ。」

 

 

 

 

となりのレジのバイトは言った。

 

 

おやじはあわてて、小銭入れ(100均)のチャックを開けてレシートを確認し始めた。

 

 

 

取り乱すおやじ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それをジッと見つめる新人・・・。

 

 

 

 

 

 

おやじは照れ隠しか、意味不明の笑いを浮かべている。

 

 

顔は若干赤面している。

 

 

 

 

そしてそのまま、店外へと出て行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後の夕方、

おやじは再びやってきた。

 

 

半笑いで店に入ってきたが、

今回は商品は見にいかず、いきなりレジに並んだ。

 

 

 

そして順番が回ってくると、おやじは言った。

「ソフト一つ。」

 

 

 

 

そのコンビニでは、ソフトクリームの調理も

行っていた。

 

 

 

私はお金を受け取り、釣り銭とレシートを渡した。

 

 

「・・・・・。」

 

 

 

おやじは何も言わず、ソフトクリームを

待っている。

 

 

 

 

私はソフトクリーム機へ向かい、調理を始めた。

ソフトクリームが出来上がると、レジへ戻った。

 

 

そして、おやじへ渡そうとすると

「ちょっと、トイレいっていいですか?」

 

 

 

そのままおやじは、トイレへ入って行った。

 

 

 

 

 

 

 

待つこと10分、20分。おやじはまだ出てこない。

(あきらかにウ◯コ。)

 

 

ソフトクリームが溶けてしまうので、冷蔵庫に

いれた。

 

 

 

 

 

 

 

30分くらいたったとき、

おやじはやっと出てきた。

 

 

 

こちらへ来たおやじに、ソフトクリームを手渡した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おやじは言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「レシートもらいましたっけ?」

 

 

 

 

 

あのおやじが何者で、何とたたかっていたのかは

いまだに不明である。