コンビニでアルバイトしていた時の話。
あるアルバイトが、ひとり辞めることになった。
その後任として、その男は入ってきた。
まず第一印象から、おかしなものを感じていた。
とにかく愛想がない。
はじめて会ったときの挨拶は、
「お願いします。」
名前など一切言わず、真顔でこれのみ。
緊張や照れなどではない、なにか異様なものを
感じさせられた。
私は、その男とシフトがかぶることも多く
よく仕事を教えていた。
しかし、何を言っても返事をしない。
軽くうなづくだけで、理解したかどうかも
よく分からない。
ひまなときには、私から話しかけることも
あった。
私:「◯◯さんは、コンビニ経験とかあったんですか?」
男:「・・・一応。」
私:「休みの日は、何してるんですか?」
男:「・・・・。」
そんな感じだったので、私もだんだんと
話かけなくなってきた。
あるとき、男に仕事を頼もうと思ったが
姿が見当たらない。
どこにいるか探していると、レジから離れたところで立っている。
手には、ポテトチップスの袋を持っている。
商品の並び替えでもやっているのかと思ったが、
よくみると一人で笑っている。
笑う男のななめ前には、OLがいる。
OLは笑う男に気づき、警戒しながら
様子を伺っている。
そして笑う男の前方では、防犯カメラが
笑みを録画している。
私を含め、3方向から警戒されているが
気づかずに笑い続ける男。
あるとき別の後輩と話すことがあった。
彼は深夜に、笑う男と一緒に働いている。
様子を聞いてみると、
後輩:「あいつ、笑ってますからね。」
どうやら深夜も笑い続けているようだ。
後輩:「あいつ俺にレジやらせて、ほとんど控え
室にいるんすよ。」
私:「控え室でなにやってんだ?」
後輩:「笑ってんじゃないんすか。」
あるとき、ムカついた後輩は
控え室に男を呼びにいったらしい。
男は、グーグーと寝ていた。
そのねずらにムカついた後輩は、
手元が滑ったていで、積んであったダンボールを
男になぎ倒したらしい。
私:「あいつ、キレなかった?」
後輩:「キレましたよ。キレて後の仕事は全部
おまえやれとか言ってましたよ。
まあその後、また一人で笑ってましたけ
どね。・・」