ある夜、仕事が遅くなった私は
家へと歩いていた。
人はまばらで、ほぼ見当たらない。
踏切に差し掛かった。
” カン、カン、カン、カン・・・ ”
ベルが鳴り響く。
電車がくるようだ。
列車がくることを知らせる
ランプが点滅している。🚨
ゆっくりと、踏切の遮断機が降りてくる。
私は立ち止まった。
遠くのほうから、電車が光を放ち
ゆっくりと向かってくる。✨
すると、背後から男が歩いてきた。
私はなにげなく、そちらを見た。
スーツきた、中年の男。
ネクタイをしっかり閉め、ビジネスバックを
持っている。
どこかの一流企業にでも
勤めていそうな雰囲気がする。
男は、ゆっくりと立ち止まった。
遠くのほうから、徐々に列車が近づいてくる。
私は背後に少し下がり、
踏切から距離をおいた。
そして、列車が通りすぎようとした
そのときだった‼︎
「まだまだあるよー。」
背後から声が聞こえた。
私は振り返った。
後ろには、スーツの男しか見当たらない。
夜もふけているため、ほかには
誰もいない。
列車が目の前を、過ぎ去ろうとしている。
すると、列車がくることを知らせるランプが
もうひとつ点滅した。🚨
反対方向から、別の列車がやってくるランプだ。
私は、ふたたび背後へ振り返った。
男は無表情で、前方を見ている。
なぜ、列車がくることがわかったんだ・・・。
明らかに、ランプがつくより先に言っていた。
まだ列車も見えていないのに、なぜ・・・・。
” カン、カン、カン、カン・・・ ”
闇夜に、踏切のベルが鳴り響く。
すると、背後からふたたび
声が聞こえた。
「北陸新幹線もあるよー。」
ましか‼︎ こいつ‼︎
超能力者か!(◎_◎;)
私は、男を不気味に感じた。
遠くから、列車が走ってくる‼︎
夜の闇の中、光を照らし
徐々に近づいてくる列車。
私は目を凝らし、列車を凝視した。
北陸新幹線ではなかった。