今週のお題「防寒」
私は冬になると、お湯が恋しくなる。
銭湯はサイコーの防寒である。♨️
真冬の夜、私は銭湯へ向かう。
寒風に吹かれ、身体を縮めて夜道を歩く。
身体がこごえてくる。
そのうち、心もこごえてくる。
寒さというものは、人の心も寂しくするものだ。
しばらくすると、遠くに銭湯の光がぼんやり見える。
煙突からゆらゆらと立ち昇るゆげ。
周りをやさしく照らす、入口の照明。
なんだろう・・・なんだか懐かしい気分になる。
店の中へ入る。
店内は明るい。
テレビからは、ゴールデンタイムの番組が流れている。
家族連れが、楽しそうにまったりしている。
なんだかホッとする。
浴室へ入る。
お湯からはゆげが立ち昇っており、
室内に立ちこめている。
ゆっくりとお湯につかる。
冷えきった身体に、暖かいお湯がしみわたる。
極楽とはこのことだ。心が落ち着く。
しずかに目を閉じる。
真っ暗闇の中、
なめらかなお湯の感触と心地よい水の音が聞こえてくる。
この感じ・・・・・かつてどこかで経験している。
遠い昔に感じた、何かに似ている。
まだ生まれる前・・・・。
そうだ。母親のお腹の中だ。🤱
かつての故郷。
なつかしい気持ちになる。
なんだか暖かく、大きな存在に守られているようだ。
人はいずれ土に帰るとよく言うが、
灰になったあと空を舞い、そして海へと帰ってゆくのかもしれない。
水から生まれ、水へと帰ってゆく人間。
寒い冬の夜、銭湯は身体だけでなく
心も暖めてくれる。♨️