今週のお題「人生変わった瞬間」
人生が変わったと言ったら
かなり大げさになってしまうが、
小さな頃読んだ本で、衝撃をうけたものがある。
「塩狩峠」という小説である。
簡単にあらすじを話すと、
厳格な祖母に育てられた青年。
男子とはこうあるべきという、ある種自分本位な考え方が強く芽生えていた。
自分より身分の低い者を下に見ていた。
そのためキリスト教が嫌いだった。
しかし青年になるにつれ、さまざまな経験をし
そしてキリスト教の影響をうけてゆく。
次第に青年の心は変わってゆく・・・。
結納(婚約の儀式)へ向かうため、列車に乗る青年。
塩狩峠に差し掛かったとき、列車が暴走し始める。
このままでは、乗客全員が死んでしまう。
青年の脳裏に自分の半生がよぎる。
青年は自分の身体を下敷きにすることで、
乗客を助けるという決断をする。
線路に流れる、青年の血。
自らの命を捧げることで、他者の命を救った。
” 他者のために自分を犠牲にできるか? ”
ラストのインパクトもあるが、
幼少期の私に大きな衝撃を残した。
数十年たった私は、自分のことしか考えていない 笑
しかし、他者のためにアクションする人への
リスペクトはけっこう強い。
人のいやがることをやっている人は
けっこうリスペクトしてしまう。
例えば、介護職などそうだと思う。
私は介護をしている身内を間近で見ていたが、
肉体的にも心理的にも、かなりハードなことだ。
あれは人間愛がないと出来ないはずだ。
基本的に、介護をしたがる人は少ないと思う。
それが肉親であってもだ。
人間、口ではいいことを言うが
基本めんどうなことはしたがらない生き物であろう。
あとは、便所掃除をしているおばさんなども
尊敬に値すると思う。
ハッキリ言って、便所掃除など誰がしたがるで
あろうか。
小さいときの夢で、「将来、便所掃除をしたいです」
なんて子供は、ぜったいにいない。
しかし、誰かがやらなければ
ぜったいに困ることだ。
事実として、それをやっている人がいる。
人気の職業や、みんなが好むことは
みんながやりたがらないことに比べれば
たいしてリスペクトにあたらないと思う。
華やかで人気の職に、何千万の年収を与えるなら
介護、便所掃除の人の給料をもっと上げるべきだ。
もっとリスペクトするべきである。
かなり変わった考え方かもしれないが、
それを形作ったのは「塩狩峠」だったかもしれない。